英熟語図鑑発刊

「英単語の語源図鑑」著者の清水建二です。2月9日以来のブログ更新です。コロナ渦の状況下でブログの更新を怠っていましたが、仕事に多少の余裕が持てるようになったので今まで貯めておいたブログネタも入れながら再開しようと思っています。

まずは新刊情報です。今年すでにブログで紹介したのは、成美堂出版の「いちばんやさしい英語のやり直しブック」、講談社サイエンティフィックの「語源図解 からだと健康の英単語」、三笠書房・知的生き方文庫の「朝から晩までつぶやき英語」の3冊でした。

お茶の水丸善店

そして今年4冊目の本が6月3日に発刊されました。タイトルは「英熟語図鑑」(かんき出版)です。「英単語の語源図鑑」シリーズの第3弾で、これで公称部数90万部突破ということになります。公称部数というのは実売数ではなく出版社が公に発表した発行部数のことです。つまり、実際には90万部は売れていないということになります。今回の初版部数は1万5千部と少ない数でしたが、出版直前に2万部が重版となり、発売3週間弱で1万部の重版となり、6月28日現在の時点で4万5千部です。ちなみに、第2弾の初版部数は5万部でした。

三省堂神保町店
オアゾ丸善

発売一週間で東京駅隣のオアゾ丸善店では語学部門で1位になっていました。その後、語学部門ではほぼ1位をキープしているものの、一般書の中では2週間ほど低迷状態が続いていましたが、今日の読売新聞の朝刊の2面に全5段の広告をうっていただきました。ちょうど、2年前の今頃、「英単語の語源図鑑」が発刊の約1か月後に朝日新聞の朝刊に全5段の広告を出してから急激に売り上げを伸ばしたことを考えると、今回の広告の効果に期待大です。

最後に、英熟語図鑑の内容についてですが、「はじめに」の赤字が入る前の状態の原稿を載せておきたいと思います。

「はじめに」 

皆さんは英会話習得のためにどんな勉強をしていますか。勤め先やバイト先に時々外国のお客さんが来るので簡単な英語を話せるようになりたい、個人で海外に旅行して現地の人たちと交流を深めたい、将来のことを考えてある程度の英会話力を身につけておきたい、等々それぞれの目的意識の違いによって勉強方法も様々でしょう。

 お金と時間に余裕があれば定期的に英会話学校に通って、マンツーマンで会話練習をするのが手っ取り早いかもしれません。でも、そうした条件に恵まれている人は多くはないはずです。また、最近はオンライン英会話のサイトを通して比較的安価な料金での会話練習も可能になりましたが、そこまでして勉強したいと思う人も少ないでしょう。

 そこで、多くの人たちはテレビ講座やラジオ講座のテキストを買って家で勉強したり、市販の英会話本や教材などを使った英会話学習を余儀なくされることになります。海外留学や仕事で、どうしても英語が必要な人たちは必死になって学習を続けるしかないでしょうが、それ以外の人たちは大抵の場合、途中で学習を断念することになるでしょう。

 本書は英会話学習の必要性は感じているものの、最初の一歩を踏み出すことができない、色々試してはみたけれど全て中途半端に終わってしまった、あるいは、英会話の勉強をしているけど中々上達しない、そんな人たちのためにピッタリの本です。

「英会話学習で最も大事なこと」

 英会話学習で最も大事なこと、それはズバリ、中学校の教科書に出て来る基本単語をうまく使いこなせるようになることです。難しい単語を一切使わず、中学校で習う単語だけでする学習法、これこそがまさに最短かつ最善な方法です。中学英語だから途中であきらめることもなく、誰でも無理なく続けることができます。

 You can enter the room without removing your coat.は「コートを脱がないで部屋に入ってもかまいません」という意味ですが、普通の会話では、このような表現はしません。と言うと「え?なぜ?」という反応が返って来ると思いますが、実は「enter(~に入る)」や「remove(~を取り除く)」という動詞は主に書き言葉や改まった場面で使われることが多く、日常会話では、You can go into the room without taking your coat off.というのが自然な表現になります。

「会話に頻出する句動詞とは何か」

 「go into~(~に入る)」や「take (~) off(~を脱ぐ)」 のように、「動詞」+「前置詞」や「動詞」+「副詞」の形で、ひとかたまりの動詞のような働きをするものを「句動詞」と言います。「句動詞」という言葉がピンと来なければ、動詞を使った「英熟語」と考えてもかまいません。実は日常会話では、句動詞が頻繁に使われていて、この句動詞の習得こそが英会話習得への一番の近道になるのです。

句動詞を覚える時に大切なことが一つあります。それは、go into~=「~に入る」と機械的な暗記をするのではなく、「go(行く)」という動詞のイメージと「into(~の中へ)」という前置詞のイメージを結び付けることです。この場合、イラストにもあるような「入り込む」イメージをつかむことが重要になります。

He went into the roomなら、「彼は部屋に入った」ですが、The car went into the wall.だと、車が本来は入ることができない壁の中に入り込むイメージから、「その車は壁に衝突した」ことになります。

入り込む対象は空間的なものだけでなく、時間的なものや比ゆ的なものになることもあります。The police went into the murder case.「警察はその殺人事件を調査した」や、The negotiations went into the night.「交渉は夜まで続いた」などがその例です。

このように、go into~で、入り込むイメージをつかめば、部屋に「入る」だけでなく、「衝突する」「調査する」「続く」などの意味が自然に頭に入ることになります。

同様に、自らの意思で「取る」という意味のtakeに、瞬時に「離れる」のoffを結びつけて、一気に「取り去る」「引き離す」イメージをつかんで行きます。

取り去ったり、引き離す対象が「コート」なら「脱ぐ」ですが、take a day offなら「1日休みを取る」、take 10% offなら「10%引きをする」、take off from the airport.なら「(飛行機が)空港を離陸する」などの意味になります。

こんな感じで、動詞・前置詞・副詞の基本的なイメージをつかみ、それらを組み合わせることで句動詞という英熟語の意味をつかむことができるのです。

「一語動詞と句動詞の使い分け」

繰り返しになりますが、日常会話では難しい動詞を使う必要はありません。「タバコの火を消す」と「双子の兄弟を見分ける」は、一語の動詞で表せばextinguish the cigaretteとdistinguish the twin brothersです。拙著「英単語の語源図鑑」を愛読していただいている方なら、きっとこの2つの単語に見覚えがあることと思います。もちろん、これらの単語は新聞や小説を読んだり、ニュースを聴いたりする上では不可欠の単語であることは言うまでもありません。

しかし、これらの動詞を会話で使うことはお勧めしません。もしこれらの動詞を会話で使ったとしたらどうでしょう。会話そのものがぎごちない感じになるだけでなく、「何か芝居がかっているなあ、この人」「キザだなあ、この人」などと思われてしまうかもしれないからです。実際の会話では、put out the cigaretteやtell the twin brothers apartが自然な表現です。

主にラテン語由来の比較的長い一語の動詞は、いわば「よそ行き」の英語で、句動詞という英熟語は「普段着」の英語と考えればわかりやすいかもしれません。実は、白状しますと、こう言っている私も高校生の頃は「よそ行き」の英語と「普段着」の英語が区別できていませんでした。どちらかと言えば、一語動詞で表した方が格好良く、句動詞はダサいという印象さえ持っていました。

「句動詞の覚え方」

自分の高校時代を振り返ってみると、句動詞の覚え方にも大きな問題がありました。例えば、「訪れる」という意味の英熟語も「call at~(場所)」「call on~(人)」というように、丸暗記することに時間を割いていました。ひたすら念仏でも唱えるかのように覚えていたのですが、atは「場所の一点」、onは「接触(人との接触)」とだけ覚えておけば、ムダな時間をかけることもなかったのです。

話はちょっと脇道にそれますが、昨年の夏に久しぶりにイギリスを訪れ、3週間の列車の旅を楽しんできました。一等車での快適な移動でしたが、車両の掲示板に出る英語と車内アナウンスを聞いて、まさに目から鱗が落ちる思いをしました。それは、This train calls at Leeds.「この列車はリーズでコールします」という表現でした。列車がリーズの駅に到着すると日本の駅と同じように、Leedsというコール(call)があります。なるほど、列車がリーズ駅で停まってコールするから、call at~で「~で停まる、~に立ち寄る」ことになるのか?!というとても新鮮な発見でした。

前置詞のatが「場所の一点」を表すことがわかれば、「~に到着する」という意味のarrive in~とarrive at~の違いも簡単に理解することができます。皆さんの中には、inは「広い場所」、atは「狭く限定された場所」と覚えている人はいませんか。私自身も高校生の頃は、arrive in Tokyo=「東京に到着する」、arrive at Tokyo Station=「東京駅に到着する」の形で覚えていました。しかし、ある時、英字新聞で、The President arrived at Tokyo.「大統領は東京に到着した」という文を見て「あれ?これ間違ってる!」と思ったことがあります。

言うまでもなく、間違っていたのは私の方でした。atは「狭い場所」ではなく、「場所の一点」と捉えれば問題なかったのです。要は、アメリカ大統領はヨーロッパ外遊の途中に東京に立ち寄ったことで、東京を地図上の一点と捉えていたことになり、むしろatの方が自然な英語となるのです。もちろん、大統領が東京だけに来たのであれば、The President arrived in Tokyo.が自然な表現となります。

「出版の経緯」

私が高校の教員になって8年目に進学クラスを担当していた頃、「先生、どんな参考書がお勧めですか」と生徒たちから訊かれることがありました。当時から前置詞と副詞の重要性を痛感していましたが、大学入試問題にも英熟語の出題率が高かったこともあり、その類の本を探したのですが、どこにも見つけることはできませんでした。

ならば、「自分で作るしかない」と思い立ち、絵の得意な妻にイラストを描いてもらいながら「前置詞・副詞中心の英熟語集」のプリントを作成し、毎週生徒たちに配ることになりました。イラスト入りのプリントを生徒たちが楽しそうに学習していた姿は今でも脳裏に焼き付いています。

私の処女作である「パワフル英熟語1000」を日栄社という大学受験専門の出版社から出すことになったのはその数年後のことでした。もちろん、全ての英熟語にイラストをつけることを希望していたのですが、製作費的に不可能であることから、断念せざるを得ませんでした。

あれから30年以上の歳月が経過しましたが、その間ずっと日の目を見ることがなかった構想が今回、「英熟語図鑑」という形で実現したことはこの上もない喜びです。本書は、いわば私の英語教員人生の集大成だと思っています。

「本書の構成」

 今回は、「誰にでも理解できる英語の本」をコンセプトに本の作成に着手しました。本書の構成は第1章が29個の前置詞・副詞編、第2章は36個の基本動詞からイメージを広げる句動詞編です。使用頻度や重要度に応じて第1章を21に、第2章を17のセクションに分けました。

第1章では、簡単かつ明解な解説を通して前置詞と副詞の本質的な意味を左脳で理解します。そして、イメージイラストを使って、その理解を深めて行きます。右脳を通しての言語学習が長期間の記憶定着に効果的であることはすでに多くの脳科学者たちによって証明されています。

第2章では、会話に絶対必要なcomeやgoなどの基本動詞を、「come=来る」、「go=行く」という一語一義的な訳では決して理解できない動詞の本質的な意味をイラストを交えながらネイティブ感覚で習得して行きます。それと同時に、この章では多くの読者にとって苦手であると思われる「意味の似ている動詞の使い分け」もできるように工夫しました。

「本書の主なターゲット」

本書の主なターゲットは先にも触れましたが、英会話の必要性は感じているものの、最初の一歩を踏み出すことができないでいる人、英会話の勉強をしているけど中々上達しないと悩んでいる人などですが、大学受験生にも是非読んでいただきたいと考えています。選定した英熟語は会話に頻繁に使われるだけでなく、入試問題や英検・TOEICなど各種の資格試験にも頻出のものを厳選したからです。

 文部科学省による「英語民間試験」は昨年、突然延期されることになり、教育現場に大混乱を引き起こしましたが、いわゆる「読む」「書く」「話す」「聞く」の4技能の中でも、とりわけ話す能力の必要性は今後もますます高まることに変わりはありません。

拙著「英単語の語源図鑑」は、ある程度の英語力を持った人が対象ですが、本書「英熟語図鑑」は使用している英語が全て中学レベルのものであることからも明らかなように、中学生でも十分使える内容としました。英語が得意な中学生の皆さんにも是非読んでいただきたいと思います。

 最後になりますが、本書が一人でも多くの読者の目に留まり、英会話の飛躍的な向上、ひいては、アジア圏の中でも最低レベルと言われる日本人の英語偏差値の大幅なアップにつながることを祈ってやみません。

        

「英熟語の覚え方と本書の効果的な利用法」

 第1章では、あわせて20個の前置詞と副詞の本質的な意味を単純明解な解説とイラストを通して理解して行きます。単語の本質的な意味を「コア(core)」と呼びますが、例えば、awayは単に「離れて」という一義的な意味で捉えるのではなく、徐々に遠ざかるイメージや、語源に遡って、on the way「途中に」の意味から「どんどん(せっせと)~する」という連続した動作を表すことなどを学んで行きます。melt awayなら暑さで徐々に氷が溶けていく様子を、work awayなら「せっせと働く」感じをイラストを通して、つかみ取って行きます。この章では、主に第2章で取り上げていない動詞を使って、前置詞・副詞のイメージを徹底的に脳裏に焼き付けた上で、第2章につなげて行きます。

第2章では日常会話に絶対欠かせない36個の「動詞」を厳選し、go=「行く」、come=「来る」などの一語一義的な訳ではなく、わかりやすい解説と例文、さらにイラストを通して動詞のコアに迫って行きます。そして、そのイメージを第1章で学んだ前置詞と副詞のイメージと結合させながら英熟語を一気に覚えて行きます。

「回る」「曲がる」というイメージのturnを例に挙げます。回ったり、曲がったりする方向や角度は何度でもかまいませんが、次のように、様々な動きや方向・場所を表す前置詞や副詞と結びついて、実に多くの英熟語が作り出されます。ざっと次のような感じです。

turn               around周辺ぐるりと回る
 to方向・到達点曲がる
 away分離顔をそむける
 back後ろへ引き返す
 over越えてひっくり返す
 intoの中に・変化変化する
 down下降・低下下げる
 off分離・消失明かりを消す
 on接触・継続明かりをつける
 up上昇上向きになる
 out外へわかる
 in中に提出する

 turnを使った英熟語は他にもまだたくさんありますが、これだけでも、かなり効率的に覚えられることが実感できると思います。そして、さらに、それぞれの英熟語にイラストがつきます。文字だけで覚えたものと、「文字+イラスト」で覚えたものを比べた場合、後者の方がはるかに長期間に渡る記憶定着が可能になることは認知言語学でも立証されています。

幼児は主に母親や周囲にいる人たちが話す言葉や表情、あるいはその時の周囲の状況を自分の目と耳で何度も何度も繰り返し見聞きしながら、やがてそれを真似することで音声を発するようになります。

本書は、このように言語を習得し始めたネイティブの幼児と同じような感覚で自然に英語を身に着けることができるようにしたことが最大の特長です。

全ての例文にあるイラストを見て、音声ダウンロードによるネイティブの発音を聴きながら学習することで、効果は一層大きなものになります。

「意味の似ている動詞の違いもわかる」

 第2章では、日常会話で必須の基本動詞を取り上げましたが、pull / draw(引く)、push / press(押す)、fall / drop(落ちる)、put / set(置く)、keep / hold(保つ)、look / see / watch(見る)、run / move / work(動く)、come / go / turn(~になる)などの違いなどについてもイメージイラストを通して、自然に身につけることができるようになります。

 例えば、lookとwatchの違いを、Look at her bag.とWatch her bag.の例文とイラストを通して、前者が「彼女のバッグを見て」と単に視線を向けることだけであるのに対して、後者は誰かに持って行かれないように、「彼女のバッグを見てて」と、意識を集中させて見るという違いが自然にわかるように工夫をしました。

 また、see a movieとwatch a movieの違いも、前者が映画館などの巨大スクリーンに映し出されたものが自然に目に映ることで、後者がテレビの画面に映し出されたものを目を追うようにして見る、という違いもネイティブ感覚で理解することができるようになります。*2つのイラスト

 さらに、I looked but saw nothing.「見たけど何も見えなかった」という1つの文から、lookとseeの違いがわかるようにしました。*2つのイラスト

「複数の意味を持つ句動詞も簡単」

句動詞の中には1つの形で様々な意味を持つものもあります。例えば、鳥がエサをつつくイメージが動詞pickのコアですが、これが「上昇」を表す副詞のupと結びついて、pick upになると、様々な意味を持つことになります。pick upする対象が石ころなら「拾う」、人なら「(車で)迎えに行く」、言語なら「聞き覚える」、女性なら「(男性が)ナンパする」、商品なら「ついでに買う」で、主体が景気や病気なら「回復する」などの意味になります。日本語だと一見全く異なるような表現ですが、pickと、上昇するupのイメージを結び付ければ簡単に覚えることができます。

「前置詞と副詞の違い」

前置詞と副詞の違いは簡単に言うと、前置詞は後に名詞が来て、副詞は後に名詞が来ないことです。例えば、I will arrive in Tokyo tomorrow.「私は明日東京に着きます」のinは前置詞、I will be in tomorrow.「私は明日家にいます」のinは副詞です。このように、同じinでも前置詞と副詞の用法があります。

本書で取り上げたものの中には、at / from / with / ofなど前置詞しかないもの、up / down / off / in / on / outなど前置詞と副詞の両方の用法があるものがありますが、基本的には意味の違いはないので、どちらであるかを区別する必要はありません。しかし、以下に説明することを読んだ上で本書を読み進めて行けば、より深い理解が得られることになると思います。

「動詞+副詞の句動詞の特徴」

He put the cap on his head.は「彼は帽子を頭に乗せた」、つまり「彼は帽子をかぶった」ですが、この場合のonは前置詞です。しかし、帽子を頭にかぶるのは当たり前なので、実際にはhis headを省略して、He put the cap on.「彼は帽子をかぶった」と表します。この時のonが副詞です。要するに、put ~(名詞)onで、「~を身に着ける」という意味の句動詞になるわけです。

He put the cap on.のように、「動詞」+「名詞(目的語)」+「副詞」の句動詞は、He put on the cap.とすることができます。両者の違いは、話を分かりやすくするために、聞き手の知っていることから話し始めるという英語のルールによります。つまり、He put the cap on.の語順は、彼がすでに帽子を持っていることを前提に、それをどうしたのかを聞き手に知らせたい気持ちが表されています。一方、He put on the cap.の語順は、彼が何かを身に着けようとしていることを前提に、その対象となるものを聞き手に知らせたいという気持ちの違いが表されていることになります。

このように、英語には大事な情報は文末で伝えるという「文末焦点」というルールがあります。表現を少し変えて、もっとわかりやすく説明します。Put your cap on.はonを強く発音することで、帽子をかぶろうとしない子供に、「帽子をかぶりなさい」と言っているのに対して、yourを強く発音することで、別の帽子をかぶろうとしている子供に「自分の帽子をかぶりなさい」というような違いを伝えることができるのです。

Put your cap on.は帽子が目の前にあることが前提なので、代名詞のitを使って、Put it on.と言ってもいいでしょう。ただし、代名詞は性質上、焦点にはならないことと口調の関係ので、Put on it.と言うことはできません。

副詞の語順

Put your cap on.
Put on your cap.
Put it on.
Put on it.×

 一方、前置詞は副詞と異なり、常に、「動詞」+「前置詞」+「名詞」の語順のみです。例えば、「彼はバスに乗った」なら、He got on the bus.「彼はバスを降りた」なら、He got off the bus.です。

 前置詞の語順

He got on(off) the bus.
He got the bus on(off).×
He got on (off) it.